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1.10 細いクズねぎが喜んでもらえるなんて不思議なもの [ファーマーの“一日一楽”日記]

別立てブログ「薬屋のおやじの“一日一楽”&“2日前”の日記」で投稿した記事で、ファーマーに関するものは、このブログで再掲することにします。

 今季のうちのねぎはチョウ不作。まともな太さに育ったものはマレである。近所の専業農家の方に言わせると、秋の台風の大雨で土が硬くなり、根張りが悪くて不作だという。こんな話は聞いたことがないが、雨を嫌うねぎであり、今年もお盆過ぎからの長雨、9月10月の頻繁に降った大雨で根腐れを起こしたことは確かだろう。
 ここ4年、お盆過ぎから10月にかけて長雨や豪雨がけっこうあり、それ以前の年の豊作から見放されっぱなしである。特に今年はひどい。
 そんなことから、豊作の年は12月の当店セールのときから主だったお客様にうちで採れたねぎをどっさり差し上げていたのだが、今年はクズねぎを少々しか差し上げられない。もっとも、本数となると同じだが。
 さて、お客様にねぎを差し上げるに当たり、“クズばっかりで申し訳ありません”と言うと、けっこう多くのお客様が“細いほうが使いやすくて有り難いです”とおっしゃる。
 なかには“どうして細いねぎが売ってないんでしょうね?”と頭をかしげる方さえおられる。“商品価値がないからでしょうねえ”と受け答え。
 調理なんてしない小生だから、細い太いの良し悪しについては分からないが、大きな塊のねぎを食うなんてことは通常の料理にはあり得ない。言われてみると、細くても何も問題なく、そうしたものがスーパーに並んでもいいのだが、やはり見た目で決まるのか。
 大きな塊のねぎは焼き鳥屋で食べる「ねぎま」ぐらいのものか。うちでは、ホットプレートで「ねぎま」と同等の大きさのものを焼いて食べるのだが、今年はねぎが細すぎて、これはかなわない。柔らかくて甘い、当地特産の「徳田ねぎ」は、この食べ方が最高なのだが、それは来年に期待しよう。
 今晩のメインディッシュは、久しぶりに豚肉・ねぎ・生姜炒め。これ、うまいんだなあ~。細いねぎでも十分に味わえる。

 ところで、とあるお客様から“ラーメン屋さんのねぎは変な味がして、淵に退かして食べないようにしている”と聞いた。外食産業は大手ほど中国産の野菜を使う。ネギ栽培は人件費が掛かり、中国産のほうがうんと安いからそうならざるを得ない。小生は、そのような感じを受けたことはないが、その方はよほど味に敏感なのであろう。
 変な味の原因は2つある。一つは肥料、もう一つは農薬だ。
 出荷時にネギの姿を立派に見せるには、収穫の1か月ぐらい前に窒素肥料を追肥するのである。こうすると葉っぱが青々しくなり、そして葉折れを防げるのである。ただし、施肥によって、ねぎは硬くなり、甘味は生ぜず、肥料が多すぎると苦味が出る。苦味は、ねぎが吸い上げた硝酸がまだそのままの状態にあるからだ。国産品とてそうであり、味にこだわる農家は出荷用と自家用を分けて栽培しておられるほどだ。これは、大根、ハクサイ、ホウレンソウなども同じだ。
 ねぎは、混植すればハクサイなどの虫除けになるし、めっぽう病害虫に強いが、無農薬でいくと害虫により葉にミミズが這ったような筋が付いたりすることがある。無害であるが見た目に悪く、これは出荷できない。よって、その地その地で発生しやすい病害虫に対して初期から予防的に農薬散布するのが通例のようであり、何か別の被害が出そうになったら、そのための防除農薬を噴霧するであろう。でも、十分に生育したら、まず被害は出ないと思われる。よって、国産のねぎは残留農薬は皆無に近い。しかし、中国産の場合、日本の防疫所で目視により生きた虫が発見されでもすれば流通停止となろうから、出荷にわりと近い時期に農薬散布が必要となろう。この場合も食品検疫検査で日本の農薬残留基準が適用されるが、ごく一部の抜き打ち検査しか行われないから、まれに摘発されはすれど、すり抜けるものがけっこう多いと思われる。そうした残留農薬に過敏な方がいらっしゃれば、変な味と感じられるのであろう。
 ネギは霜が降りれば降りるほどに甘みが増し、柔らかくておいしくなるのだが、見た目の良さが優先されて、硬くて甘くないものしか出回らず、加えて外食では農薬にまみれたものを食わされるのが現状のようであり、何とも困った世の中になったものです。
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