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使い捨てカイロは優良な肥料となる [土づくり]

 「使い捨てカイロは優良な肥料となる」ことについては、このブログで最初に2013年2月5日に記事にしたが、それ以降の状況について、逐次追記し、記録に留めることとする。(最終追記:2023年7月9日)

(2013年2月5日)
 家庭から出る一般廃棄物の処理は役場の仕事。その協力として、自治会単位で日を定めて、会員の勤労奉仕による資源回収などが行なわれているのは全国どこも同じであろう。その中で、当町では2ヶ月に1回金属類の収集日がある。
 そのとき、「使い捨てカイロ」は水酸化鉄であるから、「金属類」として出される。これがけっこうな量になり、たぶん鋳物製造にでも使われることになろう。

 でも、鉄分は人の必須ミネラルであり、植物にとっても同様であろう。鉄分の少ない土壌では植物の育ちが悪いようであり、そうした土壌に鉄分を補給してやると、植物は元気に育つという。また、プランターに入れれば、草花が丈夫になり、花の咲き方も良くなるという。そして、畑の芋類は腐りにくくなるそうだ。
 当地は沖積層であり、全然赤味がないから、鉄分は不足気味と思われる。よって、「使い捨てカイロ」から取り出した水酸化鉄を3年前から利用するようにしている。資源回収の「金属類」の日にもらってくるのである。只今の利用者は小生を含めて2名であり、余りがちだ。

 実を言うと、利用者のもう1名は近所に住んでおられる研究熱心な方で、偶然のことではあったがカセットテープからもつれだしたテープがグシャグシャになって畑に埋まっていて、そこに野菜の根がたくさん絡み付いていたのを発見され、野菜は鉄分を欲しがっているのだと気付かれたのである。それ以来、彼は「使い捨てカイロ」から取り出した水酸化鉄を畑に撒き、いい野菜を作っておられる。
 それからしばらくして、ヤーコン栽培の第1人者、山口県の渡辺最昭さんとお話をする機会があり、鉄分が十分ある土壌で育つヤーコン芋は保存性がいいことをご教示いただいた。

 さて、使用済みの「使い捨てカイロ」は、製造メーカーによって性状が異なり、どれだけか固まっているものが大半であって、少々面倒だが、これを金槌で叩いて中の塊を細かくし、袋を破いて取り出さねばならない。
 ところが、昨年春に大量に出た「使い捨てカイロ」は、ご丁寧にも袋から取り出てバケツごと「金属類」として出ていた。これを何か適当な袋に再度入れて叩く必要があり、随分と手間取る。手抜きしてそのまま畑に入れる方法もあるが、これだとニンジンや大根が先割れしやすくなり、都合が良くない。よって、粉砕するしかないのである。この作業を2月3日に30分ほどやったのだが、まだ残りがあり、後日叩かねばならない。
(追記:2月10日に30分かけて残りを叩き終える。)

 こうして、毎年少しずつ畑に水酸化鉄を補給しているのだが、これをいつまでやったらよいのかは分からない。暇があったら毎年少しずつやり続けることにしようと思っている。
(追記:2月12日の金属類資源回収に立ち会ったら、けっこうな量が出てきた。これは袋入りであり、もらってきて保存)
(再追記:3月17日、これを1時間かけて叩き、ほぼ粉末の状態にする。腕が疲れる。)

 水酸化鉄を重点的に撒く場所は、ニンジン、ホウレンソウ、ヤーコンの3箇所にしている。ニンジンはお隣の各務原市が主産地であり、洪積台地で赤土であるから、きっと鉄分が多いと思われ、ために良質のニンジンが収穫できると思われるからである。また、ホウレンソウは鉄分が多い代表的な野菜であるから、鉄分を欲しがっているに違いない。そして、ヤーコン芋は鉄分が多いと保存性が良くなると聞いて、入れ込むことにしている。

 こうして、水酸化鉄を重点的に撒いて行けば、輪作で畑全体に鉄分が行き渡ろうというものである。なお、ヤーコンは連作しており、毎年入れ込んでいる。ヤーコン芋はニンジンなどとは違って先割れしそうにないから、粉砕が完全でない粒状のものを入れ、粉末状になったものをヤーコン以外の場所に撒くことを基本としている。

 ところで、昨秋、大根の畝にもけっこうな量の水酸化鉄を敷きこんだ。粒状のものも多かったことであろう。それが原因してか定かではないが、今季の大根は先割れするものが目立ったから、今後は控えることにしよう。なお、今季の大根は太いものが目立つ。これはタネの品種違いなのか、水酸化鉄の影響なのか、そこら辺りは分からない。

 ニンジンも同様に先割れするものがかなり多いが、その原因は、成長点に水酸化鉄粒や砂粒が当ることよりも、病原菌の悪さによるようであり、水酸化鉄を加えることによって丈夫に育つだろうから、引き続き入れ込む考えだ。病原菌の名前は、たしかネコブセンチュウだと思ったが、当地の畑という畑どこにも生息しているとのことである。

(2016年10月追記)
 こうして、「使い捨てカイロ」を畑に撒くようにしたのだが、本格的にやったのは2014年までで、その後は、寄る年に勝てないのか、30分間も金槌を叩き続けると手首が痛くなり、それが改善に何日も要するようになったので、自家消費したわずかばかりの「使い捨てカイロ」をホウレンソウの畝に撒いたり、プランター栽培の草花用土に混ぜ込むだけにしている。
 これまでのその成果は、となると、今までに畑にどれだけも入れ込んでいないから、何とも分からない。
 でも、これからも、チョロチョロではあるが、「使い捨てカイロ」を金槌で叩いて、粉末にした水酸化鉄を有効活用していこうと思っている。

(2017年3月15日追記)
 今冬に女房と2人で使った「使い捨てカイロ」(貼るタイプ)を、今回はツルハシの尻で両手を用いて叩いて粉末にし、水酸化鉄を取り出した。金槌よりうんと楽であった。
 これをニンジンの畝に撒くことにしよう。残りは草花苗をプランターに入れるときに使おう。

(2018年3月5日追記)
 昨年同様に粉末の水酸化鉄づくりを行う。納屋の奥から木槌(直径約15cm)を見つけ出したので、これで叩いてみた。今のところ、木槌が一番使いやすく、最も簡単に粉末にできそうだ。

(2021年1月9日)
 毎年、同様にして粉末の水酸化鉄づくりを行っているが、ここのところ量が少ないから、使用先は草花苗をプランターに入れるときに使うだけである。この利用により、昔に比べて草花が丈夫に育つようになった気がする。
 ニンジンについては連作しているが、その効果のほどは何とも言えない。
 ヤーコンについては面積が約100㎡と広すぎて、薄くしか入っていないから、保存性について変化なしである。

(2023年7月9日)
 ここ3年は使い捨てカイロの自家使用が少なく、普通サイズ換算で30枚ほど溜まっている。これを4枚ずつ程度重ねて、木槌で叩き、水酸化鉄を取り出す。
 小バケツに残っていた水酸化鉄とともに、今年のホウレンソウ作付けに使用しよう。
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うさくんの飼い主

興味深い実践を報告されていて,とても参考になりますます.
少し気になるのですが,使い捨てカイロには2-3%の食塩が含まれています.
この食塩の量が塩害に結びつく程度なのかわからないのですが,どんなものでしょうか.使い捨てカイロを畑にまく前に,石灰を加えて水で洗うようなことをしなくてもよいのでしょうか?

by うさくんの飼い主 (2013-06-08 07:43) 

どろんこ

うさくんの飼い主様へ
塩害の心配は全くありません。ごく微量ですし、なんせ、海に近い地方では、野菜によっては海水を散布するくらいですからね。
回答が遅れて申し訳ありません。いつの間にかコメントは「承認してから公開する」に切り替わってしまっていて、コメントが付いていたのを見逃していました。
by どろんこ (2013-06-20 15:36) 

山口

どろんこさん

はじめまして山口です。
私は現在大学で途上国での鉄除去の研究を進めていますが、除去した水酸化鉄をどうしようか悩んでいました。本記事を見て作物の成長促進に使えるかもと可能性を感じました。
ご質問なのですが、やはり野菜によっては影響が出ないもの悪影響が出てしまうのでしょうか。また、うまくいく種類はどのような物があるのでしょうか。
by 山口 (2015-12-11 15:59) 

素人ですが

面白い記事で、参考になります。
使い捨てカイロをいつもゴミとして処分していましたが、何か使い道がないものかと検索しているうちにこちらにたどり着きました。

ところで、カイロの塊を砕くのに苦労されているようですね。

我が家ではプランター家庭菜園で、まだ始めたばかりで素人ではありますが・・・
砕いた貝殻を混ぜ込んでいますが、最初は金槌で砕くのが大変でした。
試しに、新聞紙に包んで踏みつけたところ簡単にぱりぱりと砕けました。
(あさりやしじみが主だから踏んだくらいで割れるのでしょう)

使用済みカイロの塊の硬さがどれほどかはわかりかねますが、踏むほうが楽なのでは?と思いましたのでコメントさせていただきました。

過去の記事へのコメントですので、見ていただけるかどうかも不明ですが・・・
作業が楽になりますよう願っております。
by 素人ですが (2016-02-26 20:02) 

どろんこ

2つのコメント(「山口」様と「素人ですが」様)を見たのが、コメントが付いてから約半年後。
コメント返しできず、申し訳ありません。
この記事のコメント設定がどういうわけか狂ってしまっていたようです。また、コメントが付いたらメールが入るように設定してあったのですが、それがいつしか働かなくなってもいます。
修復を試みていますが、うまくいきそうにありません。

お2人には読んでもらえないでしょうが、コメント返しさせていただきます。

「山口」様へ
土壌ごとに鉄分含有量が大きく異なるようです。鉄が少ない土壌であれば有効に働くようです。
ただし、水酸化鉄でpH濃度が大きく変わる恐れが有りはしないか。
小生も素人ですから、その程度のことしか分かりません。

「素人ですが」様へ
製造メーカーによって、塊ぐあい、硬さが違いますが、たいていの物は金槌が欠かせません。
by どろんこ (2016-06-15 12:16) 

鈴木康眞

大変に参考になりました。
ありがとうございました。
by 鈴木康眞 (2016-10-15 10:58) 

五郎

使い捨てカイロによる土壌改良の記事を興味深く拝読させて頂きました。
ベランダのプランターに巻いてみようと思います。さらに知人に拡散してみたいと思います。

貼るタイプのカイロは衣類に貼るために、片方に偏らないように固まるような成分が入っていると思います。
貼るタイプではないカイロならば、粉砕の手間は不要かと思います。


by 五郎 (2017-02-06 15:18) 

どろんこ

五郎様、コメント有り難うございます。
なるほど。貼るタイプのカイロは固まるような成分が入っているのかもしれませんね。
貼るタイプではないカイロは、たしかに、粉砕の手間は不要だったように思います。
当地では2か月に1回、金属類出しがあり、次回は4月です。そのとき、覗いてみて、貼るタイプではないカイロを探し、もらってくることにしましょう。

by どろんこ (2017-02-06 15:54) 

苔アタマ

常々、何か使い道はないかな?と思いながら捨てていましたが、良いことを聞きました。プランターでジャガイモを数株作るのに、灰の代わりにならないか?と考え、「使い捨てカイロの使い道」で検索していて、ここにたどり着きました。塊を砕くのにご苦労なさっているようなので、ちょっと試してみました。手元に1m位の長さの半割の角材が有りました。(断面45✕90)使用済みカイロをコンクリートの上に置いて、この角材で餅つきのように、ストン、ストンとつきました。適当に傾けて、角を使ったりして、30~40回突いたところかなり細かくなっていました。立ったままの作業なので、楽でした。ま、1個2個の話ですが・・・
by 苔アタマ (2017-02-22 22:29) 

どろんこ

苔アタマ様、
なるほど。金槌に拘っていましたが、他の道具が使えるのですね。
何か探してみましょう。
いいヒントをいただき有り難うございました。
by どろんこ (2017-02-23 07:50) 

nangokudiver

新しく買ってきたユーカリの苗がどうやら鉄分不足の症状が出ていて「鉄分 肥料」と検索したところこちらのブログが出てきました。6号プランターに植えたのですが、このサイズに上から撒くとしてどのくらいの量を巻いたら良いかアドバイス頂けませんか?
by nangokudiver (2017-03-03 23:20) 

どろんこ

酸化鉄は容易に溶けるものではないですから、量が多くてもいいでしょうが、かいろ1、2個で十分ではないでしょうか。
なお、根が絡みついて鉄を吸収するようでもありますから、撒くのではなく、どれだけか埋め込むのがいいのではないでしょうか。
確かなことは分かりませんので、あくまでも参考まで。
by どろんこ (2017-03-04 07:00) 

nangokudiver

ありがとうございます!今からまずは張るカイロを自分に使って、使い終わったカイロを作ってやってみます。
ブログに書いても良いですか??
by nangokudiver (2017-03-05 15:15) 

どろんこ

nangokudiver様、
あなたのブログで、どんどんPRなさってください。
リンクもいいですし、部分引用、要約引用、一切かまいません。
by どろんこ (2017-03-05 17:19) 

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