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生命力のないF1(交配)種子で作られる野菜 [ファーマシーの食養]

 市場に出回っている果物、柿やリンゴは年に何度も消毒して、つまり農薬散布しないことには、樹木の免疫力がないから、病害虫にやられてしまい、実が生らない。また、苗屋から買ったイチゴ苗も自分で苗作りを重ねると数年で病気が出てしまい、苗を買い直さねばならない。
 こうしたことについては、このブログでも書きました。
 野菜についてはどうか。ひ弱さは果樹と同様で、消毒なしでは思ったように収量を上げられないものが多いです。その繰り返しをしていれば、野菜の免疫力がどんどん落ちて消毒が不可欠になりましょう。今日市場に出回っている野菜はそうした野菜です。
 でも、もっと驚いたことがあります。それはF1(交配)種子です。これを知ったのは、野草料理のベテランで75歳になられる若杉友子女史が書かれた「体温を上げる料理教室」です。その本の40~41ページに次のように書かれています。

 F1種子は生命力のない危険な種
 F1種子というのはハイブリッド品種とも言うけれど、種が科学によって人工的に操作された一代交配、つまり命が一代限りで次世代へ続いていかない種のことを言います。昔の種というのは、たとえば大根なら大根を作ったときに、その中の一番いいものから採った種でした。だから、すごくいい子種を残したの。
 人間や他の生物も同じだけれど、いい種を次世代に残していかないと必ず廃れてしまいます。だから、種はちゃんと未来に続くものでないといけないのに、F1種子は一年こっきりの命で、そこから種をとって次の命を育てることができないんです。
 私も一度種をもらって大豆を育ててみたことがあるけれど、初めは茎も葉もぐんぐん育って「すごいな」と思いました。でも、そのうち幽霊のようなぼんやりした花がついたはいいが、なかなか莢(さや)や実はつかない。ようやく莢がついたと思ったら、豆のないペッタンコな大豆ができました。あのときは腰を抜かすほど驚いた。要するに命が宿っていないわけね。調べてみると、今は日本のほとんどの農家がF1の種を使っていることがわかった。
 ばあちゃんは以前、料理教室のとき野菜は自分で作ったものを使っていたけど、足らない分は農家から仕入れていたの。その購入先の有機栽培農家に足を運んで、「種は買っているんですか?」と聞いたら「メーカーから買っているよ」って。ほとんどの農家は季節ごとに育苗会社から種を買って育てているんだね。しかも、日本で売られている種の9割以上が輸入されたもので、そのほとんどがF1種子。これらは種子消毒されているから、余計に危ない。
 今は日本に限らず、世界中の民族がF1の種を握らされているんですよ。そんなものを食べ続けて元気になるはずがないでしょう。野菜は種から考えないとね。今からでもいいから、種をとらなくてはだめ。草の根運動で在来種を世の中に普及させようとしている種屋さんもいるから探してみてね。私も、私の娘たちも、そういう人たちから種を買って種を増やしているのよ。種を大切にしないと日本は大変なことになりますよ。(引用ここまで)

 いかがでしたでしょうか。農薬散布しなきゃ育たないし、育ってもちゃんとした種を作れない今日の野菜です。生命力が全くない野菜です。こうした野菜にも、ビタミンやミネラルそして抗酸化物質が含まれていますが、各種栄養素だけでは語れないのが“生き物”である野菜です。例えば、体を温めたり冷やしたり、滋養強壮力を持ち備えたり、薬としての効果があったり、などなど、本来の野菜の生命力は驚くほどのものがあります。
 それが、F1種子で育った野菜となると、各種栄養素以外のそうした効果は、どれだけも期待できそうにありません。恐ろしい世の中になったものです。
 F1種子のメリットは、大きくて見た目に良く、野菜臭さがなくて万人向けし、かつ収量を上げられるという、栽培農家のために唯一銭儲けだけを考えて作られた種です。そして、次世代にまともな種を残せないのですから、F1種子を開発した会社も確実に儲かります。
 これが資本主義経済の特徴で、企業が発展する方向へ何もかも動いていくのです。業を企(たくら)み、企(くわだ)てることが正しい道とされるのですから、当然にこのようなことになってしまうのです。
 そうした生命力のない野菜ばかりを食べでいると、ひ弱で虚弱な体になってしまいます。でも、野菜がダメだから魚や肉そして卵に牛乳を食べればよい、では決してないです。これらは、野菜より問題があり、並べた順番で順次悪さがひどくなります。
 
 食べて良いものがほとんどなくなってしまう今の世の中。在来の野菜をまず大事にしなきゃいかんですね。
 うちで昔から種を自家採取している野菜(これを「固定種」といいます)は、特産品の徳田ねぎ、十六豆、エンドウ、里芋(種芋取り)です。最近栽培しだしたもので種取りしているものは、白ナス、ゴーヤ、オクラ、晩生大豆、ヤーコン(種芋取り)です。
 考えてみると、これらは皆、丈夫いです。ほとんど農薬なしで育ちます。ただし、白ナスは梅雨明け以降に芽や花に病害虫が入り込みがちですので、芽や花に農薬散布を数度しますが。また、オクラにはどうしても葉食い虫が付きますが、小まめに手で潰してやれば何とかなります。
 それに比べて、例えば夏野菜のキュウリ、トマト、紫ナス、ピーマンの弱いことと言ったら情けなくなります。キュウリは何とか育つものの、他は苦労させられます。メリットと言ったら、うちでは望ましくないのですが、定植したら短期間で収穫が始まることです。もう実が生るの!とびっくりさせられます。夏野菜は夏本番に食べて美味しいのですが、ゴールデンウイークに作付けしたものは、梅雨明けとともに終わってしまうものが多いです。そんなに急いでどうするの?ですが、業を企(たくら)み、企(くわだ)てるとなれば、これが望ましいのでしょうね。
 そんなわけで、買った種なり買った苗で、時差収穫するために遅蒔き、遅植えし、真夏に収穫最盛期を目論むようにしている昨今です。

 これからの野菜作りは、無農薬有機栽培を売り物にするだけではダメで、“自分ちで種取りして育てた元気な野菜”をキャッチフレーズにしていかなきゃいかんでしょうね。
 それでもって、初めて本物の野菜となり、つまり“生き物”である野菜となって、人間の滋養強壮に役立ってくれることになります。
 そうした野菜作りを続けていこうと、気持ちを新たにしたことろです。皆さんにもご一読をお勧めします、若杉友子著「体温を上げる料理教室」(平成23年8月31日発刊、致知出版社、1400円+税)。

 (追記)
 小生は、最近、種を買うなら極力「野口のタネ」でネット購入しています。ここは、F1種子は取り扱わず、固定種の種子しか売っていないです。そして、その種で育った野菜から種を自家採取すると、2、3年でその土地の気候・土壌に馴染んでくれ、丈夫で収量の多い野菜が毎年育つようになるようです。ですが、種取りはかなりの労力を要しますので、小生は、まだ、そこまではしていませんが。 
 
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