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蚊に刺されても年寄りになると大して腫れなくなるのはなぜか [ファーマシーの疾病]

(2015年6月)
 2箇所の畑で野菜を栽培しているのだが、自宅前の畑は農作業を始めると、今の時期は蚊の猛攻に遭う。
 長袖長ズボンで肌の露出を少なくしているが、顔と首筋そして手先は露出しているから、もっぱらここに集られる。
 あまり動かない作業のときは、より攻撃を受け、手で払い除けたりするのだが、これでは仕事がはかどらない。
 そこで、蚊取り線香を短く折って両側に火を点け、2倍の煙でもって対処するのだが、これで防げるかというと、まあまあの効果がありそうだが、とても完璧とは言えない。
 自宅前の畑で一仕事やってくると、あちこち痒い。何箇所か蚊に刺されたのだろう。
 何年か前までは痒みが激しく、また、腫れたりしたから、虫さされの薬を塗るのが常であった。
 それが加齢とともに、その症状が弱まってきた。小生、御歳66歳。
 近年は、耳元でブーンという音がすると、うっとおしくて適当に手で払ったりするのだが、一仕事終った後に濡れタオルで顔や首筋を拭くだけでさっぱりし、痒みはなく腫れもわずかである。虫さされの薬は不用である。
 これは、一般的な傾向のようで、「はらだ皮膚科クリニック」のホームページで、次のように解説されている。

 この虫さされという現象もほとんどの場合はアレルギー反応である事を御存知でしょうか?よく“虫も喰わねえ奴だ”等と言ったりしますが、現実的には虫は人を選ぶことなく刺したり咬んだりしているのですが、人間の個体側の問題で、アレルギー的な機序によって刺された場所が大きく腫れる人から全く腫れない人まで様々なケースが存在しているのです。
 アレルギー反応は、原因抗原に接触した直後〜30分以内に症状をきたす即時型反応と、1〜2日経過してから初めて症状が生じる遅延型反応とに大別される事は以前にもお話しましたが、虫さされの場合にもこの両方の反応が起こりうるのです。虫博士としても御高名な兵庫医科大学皮膚科准教授の夏秋 優先生の御研究によると、“初めて蚊に刺された時には無反応であるが、その後まず遅延型反応が出現し、次いで即時型反応が生じるようになる。さらに刺され続けると、まず遅延型反応は減弱し、さらには即時型反応までもが減弱してついには蚊に刺されても無反応となる。”との経過をたどるそうです。従って、個人的な資質もあるのですが、年齢という点が大きな要因であり、乳幼児期には遅延型反応によって蚊に刺された跡がいつまでも赤く腫れやすいのに対して、お年寄りではたとえ刺されても無反応となる可能性が高いという訳なのです。(引用ここまで)

 無反応とは、蚊が発する毒に免疫力ができたからか?
 単純に考えると、そう思ってしまうが、これは免疫学の基本と相矛盾する。免疫力が高まれば、毒との壮絶な戦いが始まり、痒みが増し、大きく腫れるのだ。
 症状がその反対なのだから、免疫力が高まったのではなく、その逆だ。でも、免疫力が弱まったのではない。どうやら別の現象が体内で起きたのである。
 答えは「免疫寛容」、正しくは「自然後天的免疫寛容」である。
 これは、早い話、“蚊の毒に白旗を揚げた”のであり、“毒消し作業放棄”である。こうなれば、痒くもならず、腫れもしないのだ。そして、そのうちに体内のどこかでゆっくり解毒されるというものだ。
 この「自然後天的免疫寛容」は加齢とともに進んでくると思われる。おふくろは、蚊が集るとうっとおしいようで、たまに手で叩いたり煽ったりするが、刺された箇所が腫れることはない。
 体質を「自然後天的免疫寛容」にするには、蚊に刺されても虫さされの薬を塗ってはならない。痒ければ掻きむしり、腫れはそのまま放置しておくことである。これが何年か経過すれば「自然後天的免疫寛容」に至るようである。
 このことについては、松本仁幸医学博士がそのホームページで、アレルギーの根本治療法に関して次のようにおっしゃっておられる。

 アレルギーとは環境の汚染異物を体内から排除しようとする高貴な戦いであり、症状が出るということは免疫の働きが勝っていることを意味します。アレルギーが治るということは、強大な汚染環境との戦いに負ける、つまり人体の武器であるIgE抗体が自然に作れなくなることであります。これを私は自然後天的免疫寛容と呼んでいます。この免疫の働きはサプレッサーT細胞によってもたらされます。これは世界で初めて私が臨床で見つけたのですが、2007年に京大の坂口志文先生がサプレッサーT細胞そのものを発見されました。これで私の理論は完璧になりました。さらに動物実験で大量のアレルゲンをマウスに入れ続けると、アトピーの症状もいつの間にか最後には消えてしまうことを東大の免疫学の教授であった多田富雄先生が見つけ出され、この功績で文化功労賞を授与されています。
 このような明確な自然後天的免疫寛容の証拠が臨床的にも基礎医学的にも発見されているにもかかわらず、現代医療のアトピーやアレルギ-の全ての治療はステロイドや抗アレルギ-剤や抗ヒスタミン剤を用いて免疫の遺伝子の働きを停止させるか、遺伝子によって作られた免疫のタンパクの働きを抑えることによって、結局はIgE抗体の産生と使用を一時的に抑え、つまり一時休戦するだけですから、一時的にはIgE抗体の産生能力が抑制されます。しかし薬が切れると再び遺伝子の働きがONとなり、様々な免疫のタンパクが作られ、使用され、戦いが再開されるいたちごっこになり、永遠に根治出来ない医者の作った病気になります。しかも臨床的には私が見つけたサプレッサーT細胞の働きをもステロイドは一時的に抑制してしまうので、ステロイドを使う限り、永遠にサプレッサーT細胞の遺伝子が発動されずに、自然後天的免疫寛容が生じず永遠に治らない病気となるのです。(引用ここまで)

 松本氏の理論は、現代医学では無視されているようだが、表題にした「蚊に刺されても年寄りになると大して腫れなくなるのはなぜか」を考えたとき、この理論でしか説明できないと思うのである。
 いかがなものでしょうか。

(2019年9月24日)
 この記事を書いてから4年経った。小生71歳となり、ますます蚊に刺されても大したことはなくなった。4年前は、刺された箇所がほんのちょっと赤くなったのだが、今はそれが見られない。でも、うっとおしいことに変わりはない。また、刺されたときは軽い痛みを感じるし、首筋や耳に痒みも少々残る。よって、一仕事終わったときに乾いたタオルで軽く擦ることにしている。これでサッパリ。
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