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近代農業の最大の問題点は大型トラクターによる土壌耕盤の形成か? [土づくり]

 川口薫という一風変わった科学者がいる。
 「岩石を構成するミネラルの構造がそもそも重要なものであって、岩石から溶出するミネラルの性質はその構造によって違ったものになる」というものであるから、これは現在の科学の常識を根本から覆してしまう論である。
 それに止まらず、そのミネラルによって水の性質も変わるという。
 ここまでなら小生も何とか着いていけるのだが、水と言うものは、“人の心に反応する”とまで言われるから、ここから先は小生も着いていけない。
 もっとも、水の不思議は現在の科学では説明できないことが多々あって、“水が人の心に反応する”という現象を発見されている方は他にもあり、大変興味を持たされるところではあるが、そう簡単には解明されそうになく、ここでは場違いのことであるから、ここらで止めておく。
 こうしたことから、氏には失礼であるが、冒頭の表現をさせていただいた。

 さて、氏の小論をたまたま入手し、畑の土壌について驚きの事実を知った。
 それは、「農業の実践ー現在の土壌の問題点と解決策ー」と題した6ページほどの短い小論であるが、素人向けに分かりやすく説明されたものである。
 3つの問題点を挙げておられ、化学性、生物性の問題点については概ね既知のことだが、物理性の問題点は初耳であり、一言で言えば、表題に示したとおりである。
 さほど長くないものであるから、その全文を以下に紹介する。なお、その中に出てくる「農業用のミネラル抽出液」なるものは、氏が研究開発中のもので、様々な岩石の組み合わせの中から適正なミネラル抽出(最初のところで紹介したミネラル構造を持ったもの)を行ったものであり、一部試験的に使われているものの、まだ発売はされていないようだ。

 物理性の問題点
 近年の農業は、生産性の向上や年間を通した出荷体制の確立などの要請から、機械の大型化や大型施設栽培などにより、工業型農業経営をしなければ生産者は生き残れない環境になっている。
 土壌は大型のトラクターに踏み固められ、耕運すればするほど表層から15~20cmのところに耕盤が形成される。耕盤は土壌の通気性や排水性を低下させ、作物の根の伸張を妨げるだけでなく、旱魃や長雨の影響を非常に受けやすくする。
 農業用のミネラル抽出液を使用すると、土のソフト化が進み、土壌がサラサラ・フカフカになって棒が2m以上も入るようになる。
 耕盤がなくなることによるメリットは計り知れない。根が伸張する、養分をより吸収できる、水分や温度の変化に強くなるなど、数えればいくらでもある。
 実際にイチゴ栽培農家でミネラル液と良質な堆肥を組み合わせて行った結果、栽培終了後に土を掘ったら驚くべきことに2年目には240cm(1年目は140cm)もの深さまで根が確認できた。
 それまでは水の管理が大変で毎日土壌水分計とのにらめっこだったのが、ミネラル使用後は根が深くまで伸びたために土壌水分が安定し、水をやっても水分土壌計のメーターはそれほど動かなくなった。イチゴの味も抜群で、大手百貨店や料理店などにも並ぶ価値の高い農産物になっている。
 別の例では、粘土質で雨が降ればドロドロになり、乾けばカチカチになるような土壌に、堆肥とミネラル抽出液を入れて約半年で棒が70cmほど入るようになったところも出てきている。
 これら2つの例に共通しているのは、堆肥などの有機物を適切に投入していることである。土壌耕盤が破壊されるメカニズムはおそらく土のソフト化によるものと考えられるが、有機物の施肥量やミネラル抽出液の投入量の目安を見つけることが現状では難しい。
 それは土のタイプや残留成分などの関わりが解明できていないためで、今後の課題として残っている。
(以上)

 この小論では、ミネラル抽出液の効果が強調されているが、文末で、「土壌耕盤が破壊されるメカニズムはおそらく土のソフト化によるものと考えられ…堆肥などの有機物を適切に投入していることである。」とあるから、十分な有機肥料の使用が重要なものになり、大型のトラクターなどを入れなければ、有機肥料だけでも、ひょっとしたら土壌耕盤をなくすことが可能かもしれない。
 ちなみに、リンゴの自然農法で有名な木村秋則さんは、リンゴ園の大きな問題点として「大型機械がリンゴ園に入り込み、それによって土壌が踏み固められている」ことを挙げておられた。そして、リンゴ園を機械で踏み荒らさないようにし、雑草を放置してリンゴの木を蘇らせられたのだから、出来ていたであろう土壌耕盤は、何もミネラル抽出液に頼らなくても解消したと思われるのである。
 ところで、うちの畑はせいぜい小型の耕運機をまれに使ってるだけで、大型のトラクターに踏み固められているものではないが、土壌耕盤らしきものがしっかり存在する。
 隣接する畑を耕作されている方は、数年前に地主(小型の耕運機を使用)から借り受けられ、大型のトラクターを使って耕運されているのだが、ひどい土壌耕盤らしきものが存在すると言われる。その原因は、ここは昭和30年過ぎの圃場整備で畑にされた所であって、そのときにブルドーザーでしっかり転圧され、耕土が30cmほど乗っているだけの条件の悪い畑だとのこと。これを改善するには、天地返しでもしないとダメだ、とおっしゃっておられた。
 隣の畑もうちの畑も細長くて圃場整備で作られたものだから、きっと同じ条件であろう。エンドウやトマト栽培で支柱を差しても30cmほどの所から下へは力を入れても全然入らないのであるから。
 早々に優良な畑にするには、1m程度の天地返しでもするしかなかろうが、半農半商の身にあってはそのような大それたことはできそうもない。
 よって、地道に有機肥料を入れていくなり、最近興味を持ち始めた自然農法を取り入れていけば、希望的観測ではあるものの、少しずつ土壌耕盤らしきものが下がっていくのではなかろうか。
 川口薫氏の小論を読んで、そんな思いをしたところである。
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